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稲妻がエリックを囲んだのは一瞬の後だ。
ルドワードとノーリックに動揺が走る。
クリュウも固唾を呑んだ。
「私が呪いを得意としていることくらい知っているでしょう? 愚か過ぎるのです。貴女たちは!」
イリックが両手を組み合わせる。
目映い光がエリックを完全に呑み込んだ。
スウリックとは違う光の帯が丁度鳥籠のようにエリックを包む。
閉じ込められたエリックも身動きひとつしない。
クリュウが目を凝らす先で金色の杭がエリックの心臓を貫いた。エリックが着ていたローブの袖も綺麗に留められている。
鳥籠の中に夜蝶の標本。
クリュウは剣を握る。
イリックを殺すことしかできないのだと覚悟を決めた。
「イリック! お前は、どうしていつもいつもこんな馬鹿げたことに走る!」
ノーリックがいい放つ。
「貴女達が私を殺そうとするからです。いわば、延命。次は貴女です!」
イリックが十字を切る。
赤十字架がノーリックに向かう。
「破!」
ルドワードがノーリックと赤十字架の合間に挟まり短い言葉を叩きつける。
赤十字架が粉砕する。
硝子の割れる音が響いて消えた。
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