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「イリック、どこでそんな力を得た?」
肩で息をするルドワードにイリックは笑みを投げる。
「私は昔から貴女たちよりも遥かに強い魔を持っている。いちいち説明しなければならなくなった貴女に世界はもう要らないでしょう。これからは私が世界を牛耳り、新たな秩序を組み立てます。ですから、安心してお休みなさい」
「戯け!」
ルドワードが槍を造り出す。焔を纏う槍は容赦なくイリックに投げ付けられた。しかし、槍はイリックには届かない。イリックの周囲には明らかに空気の幕が張ってある。
クリュウは剣を構える。
イリックを見据えれば見据えるほどに心が落ち着いていくことを感じた。
運命なのだ。
考えたくはなかったが、輪廻は巡るのだと空中で足に力を入れた。
勝負は一瞬だ。
失敗すれば落下する。当然、命はない。
イリックが攻撃を仕掛ける瞬間に無防備になることは先程のドラゴンが教えてくれた。
クリュウはイリックに集中した。
世界が瞬いた。イリックが編み出す無数の光線が、ノーリックを貫く。
ノーリックの手から杖が離れる。杖は地へ落下する。
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