三つの星の下で、君に誓う

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「両親の離婚で住み慣れた地を離れて、ミコちゃん達の学校に転校した。 それでお母さんの職場が決まるまでの4カ月だけしかいられなかったの。 でもその4カ月が……あたしを変えてくれた」 「うん……」 聞きに徹している俺はかれんの手を被せるように握りしめ、頷くことしか出来なかった。 トクントクンと伝わるかれんの脈が、妙に心地良い。 「お父さんに……寒空の中外に出されたり、怒鳴られたりですっかり塞ぎ込んじゃってたの。 あの時のあたしは、弱虫だった」 小学生だったかれんも。 たどたどしかったけれど、今と同じようにしっかりと言葉を紡いで俺に話してくれた。 実の父親にそんなひどい目に合わされて、どんなに辛かっただろう。 俺が何かしてあげれたら……とその時も小学生ながらに自分の非力さに悔しくなった。 でもそれは今も同じ。 大人になった今でもかれんに大きな傷をおっていて、先程のように暗闇を恐れている。 すぐそばにいながらそれを拭えておらず、救う事ができていないんだから。 俺は胸の奥が苦しくなってギリと奥歯を噛み締めた。
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