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「でもね?あたしはミコちゃんに出会えて、強くなれた」
「え?」
思わぬ一言に、俺は面食らった。
「俺……何にもしてやれなかったのに」
「ううん、そんなことない。ミコちゃん忘れちゃったの?」
「え」
キョトンとする俺を見ておかしそうに微笑むかれん。
え、俺なんかしてやれたっけ?
記憶を呼び起こそうとしても、可愛いかれんの姿しか思い出せない。
だーっ
俺の脳みそのバカっ
何で大事な事覚えてないんだよ……!
冷や汗が背中を伝う中、俺は観念して
「……悪い」
と、なんとも情けない声を出した。
「フフっ、あの時ミコちゃんに言ったでしょ?
『ミコちゃんはあたしのヒーローだねっ』て。
そしたらミコちゃんこう返したんだよ」
かれんはにこりと微笑み隣の俺の耳元に口を寄せ、まるで子供が内緒話をするみたいに手をあてがった。
「それならかれんは『俺のヒーローになってくれ』って」
かれんの吐息混じりの声によって、昔の記憶が舞い戻された。
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