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……そうだ!
あの時俺はーーー!
かれんと少しでも距離を縮めたくて前に進みたくて、ガキながらに模索してそう言ったんだ。
……やべ、恥ずかしすぎる。
いくら小学生だったとは言え、そんな乙女ちっくな発言をしたなんて……
黒猫はにゃーと言いながら足に纏わりついてきて、まるでなぐさめてくれているように感じる。
「それ忘れて……」
繋いでいた手を離し、両手で顔を覆い隠すと
「なんで?」
と、間髪入れずに返された。
「なんでって……おかしいだろ、男が女にヒーローになれって頼むの……」
ヒロインじゃなく、ヒーローって。
意味履き違えすぎだし。
あの頃にタイムマシンで遡って、自分を殴ってやりたい。
赤面を隠す手を、かれんはガシッと掴み剥がす。
「ちょっ!?」
あまりの握力に驚く俺の視界に映ったのは、目をつり上げ怒った表情を露わにしているかれん。
「あたしは!
ミコちゃんのその言葉があったから、強くなれたの!
辛いことや怖い事があっても強くならなきゃって、乗り越えてこれたんだから!」
半ば喚くような声は、2人の間を突き抜け暗闇に響いた。
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