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瞳に涙を貯めながら、肩で息をするかれん。
そこでやっと俺はハッとした。
彼女の気持ちも知らず、俺は何を言ってしまったんだろう。
あんな言葉を、胸に大事に閉まっていてくれていたのに。
途端にいたたまれなくなって、かれんの腰に手を回し自分に引き寄せた。
「……ごめん」
俺の胸に密着するかれんの頭に手を乗せ、もう一つの手で強く抱き締めた。
「あたしは……っ、ミコちゃんからの言葉だから頑張ろうって思えたの。
だから……あの言葉を否定しないで……」
途切れ途切れに話すかれんが可愛いくて、愛おしくて。
どんどん気持ちが満たされて、どんどん高ぶっていく。
「……っん」
気付けば再度、唇を塞いでいた。
先程熱を帯びたそこはすっかり冷めていて、もっともっと俺で一杯にしたかったから。
「ん、……っ」
合間に漏れる妖美な息が、俺の脳を痺れさせる。
「好きだよ。
かれんは?」
深くなる前に自制して、至近距離でかれんに囁いた。
だってまだ聞けていない。
なぁ、言って。
今度は誤魔化さずに。
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