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かれんは頬を赤く染めて、瞳を潤ませていた。
大きく振動する鼓動は、もうどちらのものなのか分からない。
「……す、き」
「何?小さくて聞こえない」
健気な姿につい意地悪をしたくなってそう言うと、かれんは今にも泣きだしそうに口の端を横に広げた。
「……好き」
たった二言のその言葉に俺の心臓は飛び跳ね、体中が固まる。
言ってくれと頼んだのは俺なのに。
その言葉をどれだけ待ち望んでいただろう。
小学生だった時の俺とかれんの中を深めてくれた、林間学校。
この場所にまた2人で来れた事を、心から感謝する。
夜風がかれんの髪を揺らし、俺の頬を掠めた。
「……恥ずかしいんだから何か言ってよっ」
硬直する俺の体をバシンッと勢いよく叩くかれんは、暗闇でも分かるほど真っ赤で。
いい年して俺達は何やってんだろ、と少し呆れながらもその初々しさがくすぐったくて。
この雰囲気に酔いしれたかった。
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