恋の魔法にかけられて

6/19
前へ
/342ページ
次へ
とにかく、中身はどうであれ、黙って微笑んでいれば間違いなく美少女の梨央がヒロインをつとめるというのだから、今回の劇には学内はもちろん、学外の男子生徒もたくさんやってきていたのである。 しかし、では部屋の中はすっかり男子で埋め尽くされてしまったのかといえば、そうでもなくて……。 「あ、ほら。宏が来たよ」 梨央に囁かれて、思わず頬を赤らめながら、七海は一人の男子に目を向けた。 そこに立っていたのは、大勢の家臣にかしずかれている『王子様』……役の、溝田宏(みぞた ひろし)。 彼はまさしく梨央の相手役にふさわしいと言える、容姿端麗な王子様だ。 彼のおかげで、やはり女子生徒が殺到し、劇は大成功を収めることができたのだった。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加