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「お疲れ様。すっごく良かったよ。セリフも完ぺきだったし」
「うん……」
『お姫様』がつまらなそうに唇を尖らせながら、頷く。
が、その目はまだ名残惜しそうに出入り口の方に向けられているのを、少女は見逃さなかった。
「ねえ……」
少女が言いかけた時。
それを遮るようにして声がしたかと思うと、二人の前に背の高い『王子様』が立っていた。
「お疲れ様。いやあ、大変だったね、梨央」
「うん、お疲れ様」
『お姫様』はにっこり微笑みながら、自分に隠れるように後ずさった少女を押し出した。
一歩『王子様』に近づいただけでも、少女の頬は、熱でもあるんじゃないかと心配になるほど、真っ赤になってしまう。
『王子様』はそれに気が付いたのだろうか。
クスクス笑って
「お疲れ様」
と言ったが、そこから先がどうにも続かない。
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