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「お疲れ様―!」
疲れ切った、しかし満足そうな声が一斉に飛び交う。
あちらでは水色のドレスを着た少女が兵士の格好をした青年の肩を叩き、こちらでは王様のマントを肩にかけた青年が召使の白いエプロン姿の少女に話しかけている。
まるでどこかの宮殿に迷い込んでしまったかのような光景の中、七海は灰色の制服を着て、ポツンと立っていた。
と言っても、彼女が突如として中世ヨーロッパにでもタイムスリップしてしまったというわけではない。
色鮮やかなドレス姿の少女たちも、ちょっと気取って胸を張る貴族風の青年たちも、みんな七海と同じく、現代日本の高校生。
彼女たちのクラスは文化祭で劇を上演したのだが、その最終公演が終わり、そのまま教室で打ち上げに入ったところだった。
だから、まさに「お疲れ様」だったのである。
もちろん、よく見てみれば、七海の他にも制服姿のまま、裏方で活躍した生徒たちだって大勢いいる。
が、やはりぱっと目を引くのは出演者たちの豪華な衣装なのだった。
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