恋の魔法にかけられて

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小学校も中学校も、そしてついに高校まで一緒になった七海と梨央。 二人がどうして仲が良くなったのかは、七海本人でさえよく分かっていない。 もちろん、『美少女同士』と呼ばれたせいでないことだけは明らかだった。 小学生の頃から可愛いと言われていた梨央は、高校生になって、まさに注目を集める美少女へと成長した。 目はパッチリとした二重で、髪は生まれながらの栗色。 今日のようなドレスを着せれば、まるで本当にどこかの国の王女様なんじゃないかと思ってしまうほどよく似合う。 七海は、そんな美しい親友を妬ましく思ったことは、一度もなかった。 本当に梨央のことが好きだったし、そもそも張り合えるほど自分に自信を持っていたわけでもなかったのである。 とは言え、少なくとも、見ていられないほどの不細工というわけではない、と彼女は自分を評価していたし、鏡を直視できないほど気に病んでいたわけでもない。 日本人形のような黒髪だって、二重になりきれない奥二重の目だって、よく見れば愛嬌がある……と思っている。 いや、思いたかった。
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