第1章

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タクシー乗り場にたくさん列を成すタクシー。 その中の一台に近づいた。 「あの東京に行きたいんですけど…」 「東京のどの辺りかな?」 にこにこと気さくな雰囲気のおじさんが開けた窓から返答してくれた。 「ぇ、だから東京です!」 「…………」 「…………」 私の返答ににこにこしていたおじさんの顔はみるみる崩れ、変なものを見ているといった顔に変わった。 「お嬢ちゃん、誰か大人の人と一緒?」 首をふるふると横に振り否定する。 「困ったなー、詳しい場所が分かんないんじゃどうしようもないんだよ。なにか行き先が分かるものないかな?」 おじさんは見捨てずに行き先のヒントを見つけようとしてくれた。 すごくいい人だ! 日本人は道を聞くとNO!って言って去ってくって聞いてたけど、この人は違う。 さすが道案内のプロだね。
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