第1章

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とは言っても行き先が分かりそうなものといえばさっきの地図くらい。 おじさんならもしかしたら分かるかも、 なんて淡い期待を胸にA4の紙を渡した。 「…………」 おじさんはそれを見て絶句。 ぁ、さっきの私と同じ反応。 やっぱりあの地図じゃ誰も分かんないよね。 「おじさん、もういいよ。私一人でなんとかしてみるから」 地図をひっくり返したり、透かしてみたりといろいろしてくれてるおじさんに申し訳なくなり自分から断った。 「すまないね、力になれなくて」 そう言って地図を返してくれたおじさんは最初のころのにこにこした表情ではなくぎこちない苦笑いだった。 ありがと、とお礼を言っておじさんのタクシーから離れた。
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