第1章

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歩き始めて1時間、都会の高い建物たちに囲まれ人で溢れかえる、変わらぬ景色の中をひたすら歩く。 ん~、そもそもこっちで方向あってるのかな? 地図をくるくるしながら方向を確かめる手立てを探す。 せめて方向だけでもタクシーのおじさんに聞いておけばよかった、と本日二度目の後悔をした。 けれどあまりくよくよもしていられない。 終わったことは悔やんでもどうにもなんないんだし、終わったことよりも先のことを見ないとねー。 なんて楽天的な考えに切り替えた瞬間、 プップ―――ッ!! とクラクションの音が耳に届いた。 「へっ?」 思わず変な声を発したことに恥ずかしく……思う暇もなく車が私目掛けて突っ込んでくるのを理解した。 理解したのだけれど人間頭は冷静でも身体がいうことを聞かなくなるときがあるもので、 私の場合今がその時だった。
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