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「クルバンハイート」
ゼニコは自分の能力名を口に出した。
「簡単に言えば、『生命力』を『火力』に変える能力でし。祝日の起源は何だったかな、どこかの偉い人が自分の息子を神さまに捧げたことが元だとか」
「……?」
「ゼニコは本当なら大人なんでしが、今能力に生命力を捧げてる状態でし。それでこんなにちっちゃい身体でしよ」
「なんで俺たちにそんな事を……」
ぺらぺらと自慢げに能力の解説をするゼニコに、もっともな疑問をぶつけた。
漫画とかでよく見る敵キャラの所業だが、現実的にはハンデにしかならない。
「ん~~ふふふふふ、わっかんないでしかぁああ?」
ゼニコは馬鹿にしたように笑った。
「なんでわざわざ不利になる能力の解説とか、どうでもいい起源の説明とか、そうそう、私は『HOME』元帥のゼニコでし。これも言ってなかったでしね」
やっぱり元帥か。
一度『WORLD』に捕らえられているときにテレビで見た火力は、俺たちの本部を一撃で塵にした。
一般の戦闘要員に出せるものではなかったか。
そしてゼニコは、恐ろしく冷たい声で吐き捨てた。
「簡単に言えば、お前らゴミ屑の事なんかどうだっていいからでし」
対照的に、彼女の両脇から炎が上がった。
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