第三章

4/4
241人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「クルバンハイート」 ゼニコは自分の能力名を口に出した。 「簡単に言えば、『生命力』を『火力』に変える能力でし。祝日の起源は何だったかな、どこかの偉い人が自分の息子を神さまに捧げたことが元だとか」 「……?」 「ゼニコは本当なら大人なんでしが、今能力に生命力を捧げてる状態でし。それでこんなにちっちゃい身体でしよ」 「なんで俺たちにそんな事を……」 ぺらぺらと自慢げに能力の解説をするゼニコに、もっともな疑問をぶつけた。 漫画とかでよく見る敵キャラの所業だが、現実的にはハンデにしかならない。 「ん~~ふふふふふ、わっかんないでしかぁああ?」 ゼニコは馬鹿にしたように笑った。 「なんでわざわざ不利になる能力の解説とか、どうでもいい起源の説明とか、そうそう、私は『HOME』元帥のゼニコでし。これも言ってなかったでしね」 やっぱり元帥か。 一度『WORLD』に捕らえられているときにテレビで見た火力は、俺たちの本部を一撃で塵にした。 一般の戦闘要員に出せるものではなかったか。 そしてゼニコは、恐ろしく冷たい声で吐き捨てた。 「簡単に言えば、お前らゴミ屑の事なんかどうだっていいからでし」 対照的に、彼女の両脇から炎が上がった。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!