第二章

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「『HOME』の元帥の研究所に捕まってたからネ、そろそろデブ君が恋しくなる頃かと思って連れてきたんだヨ☆」 のっぽはカラカラと笑った。 相変わらずの謎めいた迫力は、味方ながらに得体が知れない。 最初に出会った頃の他人をおちょくるようなやり取りから見ても、本当に味方かどうかさえ怪しいところだ。 「デブを運んでくれたのはいいとして、何で俺がここに居るって分かったんだ?」 「ンー、簡単に言ってしまえば僕の中に居るのが『POTOLI=KATARI』だから、って事と、後は能力かナ☆」 「何の日の能力だ?」 「秘密☆」 のっぽの能力は不思議だ。 気配もなく現れたかと思えば、次の瞬間には消えている。『神出鬼没』という四字熟語を体現したかのような能力。 「デブ君が起きたら『AWAY』の本部に戻るカイ? 今、結構大変な事になってるみたいだヨ☆」 「当り前だ! あそこには怪我した猫だって居るだろ! ガブリエルが看病してるって言ったって、本部自体がなくなっちゃあどうしようもない……」 「ヘレンが教えたのカ。 ……『HOME』の元帥が単騎で挑んできたんで、こっちも幹部二人が対応してるサ」 単騎っていっても、どこまでが作戦か分からないけどネ。 のっぽは懐に手を入れ、何かを取り出そうとした。 「おっと、危ない危なイ☆」 そう言って手を止めたのっぽは、結局何も出さなかった。
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