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「おやおや、役職持ちでもないのにこんなところまで出しゃばって、君ひどい死に方するでしよぉ?」
幼い。ビデオで声は聴いていたが、実際に目にするとなお幼い。
率直に抱いた感想はそれだった。
近づいただけでその圧倒的な気配に身体が震えるというのに、この子は見た目だけで言えば俺の半分ほどしか生きていない。
一体何を食えばこの歳で、こんな強さを手に出来るのだろう。
「あ! 何か倒れてると思ったらデブがいるじゃないでしか。 いいでしね、デブは。 欲望の塊のようなぽよんぽよんの腹がなんとも愛らしいでし!」
「……ん……」
その声を聞いてか、今度は寝言ではなく本当にデブが覚醒した。
「おいデブ、寝起きですまんが今死地にいるぞ、俺とお前」
「はぁ?」
「起きて戦え。 死にたくなかったらな」
デブも目をこすりながら顔を上げ、ようやく状況を把握したようだ。
「お、おおい、あすこで焼け焦げてるのって、……幹部の人じゃ……」
「そうだよ。 でもあの幼女が滅茶苦茶な強さだろうがやるしかねぇ。 今『AWAY』の本部も崩されて誰もいないんだからな」
「はあああ?! っま、マジか……こんな……」
デブは絶望したが、その身体を無理やり引っ張って立たせた。
「状況把握できねぇのも無理ねェけど、今は戦って勝たなきゃいけねぇんだ」
「グフフ、この焼け焦げお兄ちゃんより弱っちい君たちが、まぁさかまさか勝つつもりなんでしかぁ?」
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