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「あの…もうそれぐらいで、こんな所で騒いだら危ないですよ」
警備兵の言葉に反応して二人は騒ぐのを止めた。
「…っと、そうだったな……まぁ、チャッピーの事は置いといて…今どの辺だ?」
「チャッピー言うな!!」
少年の言葉に黒猫が抗議の声をあげたが、少年は無視して警備兵に答えを促した。
「そうですね……後一時間で帝国の玄関口の都市、マルクスに着く筈です」
「一時間か……じゃあ、そろそろだな…」
少年はそう呟き、縁に足を掛けた。
「ちょっと!!…何をやってるんですか!?…危ないから下がってください!!」
警備兵は慌てて制止したが少年は気にせず肩に黒猫を乗せて答えた。
「慌てるな……途中下車するだけだ」
少年はそう呟いて、甲板から身を投げ出した。
「うわぁぁぁぁ!!…大変だ!!…甲板から人が!!」
警備兵は慌てて緊急用の信号弾を打ち上げ、飛空挺内が喧騒に包まれた。
「……ふん、慌て者が……デーモンウィング、召喚!!」
少年が魔法を唱えると、背中から大きな蝙蝠の羽が生えてきて、そのまま夜空を優雅に飛んでいった。
「ふむ……羽だけ召喚して憑依させたか……あの一瞬で見事……と言いたいが」
肩に乗っていた黒猫が怒りの眼で少年を睨んだ。
「我輩の羽を使うでない!!」
見ると黒猫の背に生えていた筈の蝙蝠の羽が消えていた。
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