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「よ~うく~ん」
「うわっ!りょーちん。どしたの?」
バイト先のロッカールームで着替えていると、不意に後ろから恨めしそうな声で呼ばれた。
「あの弟なんだよ?」
明らかにムカついてますって顔されちゃったら、俺も苦笑いするしかない。
というか、今朝は半ばりょーちんに押し付けちゃったし。
だって、碧とりょーちんの降りる駅が同じだったから俺としてはラッキーと思って、快く送り出してあげた。
二人してブーブー言ってたけど、関係ないし。
「すげ生意気。あと一つ学年が上ならいじめてやったのに」
口惜しそうに唇を噛み締めるりょーちん。
ていうのも、碧ってば、りょーちんと同じ高校だったんだよね。
なんか見たことある制服だとは思ったんだ。
でも、まさか碧がりょーちんと同じ高校だとは…。
あそこってここら辺じゃ偏差値トップクラスなのに、あんな変態が通ってるなんて世の中間違ってる。
「もしかしてりょーちんもされたの?」
怒りが治まりそうもないりょーちんに、俺はもしやと思って尋ねた。
だって初対面の俺にあんなことするような碧だ。
りょーちんにもチューぐらいしてる可能性が大いにある。
「されたって何を?」
「いや、だからチュー」
「はあ?チュー?チューってキスのことか!?」
「そう…だけど?」
あれ?
何この反応。
なんでこんなに食いついてくんの?
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