3.りょーちんは出来る男だし!

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「りょー…ちん?」 ソッと離れた亮を、俺は驚きの余り呆然と見上げた。 「ぷっ。何?そのアホ面」 そんな俺の顔を見て、亮が吹き出す。 そんな亮の態度に、俺は今起こったことが信じられずにいた。 キス…した? 亮が俺に? 付き合って半年になる可愛い彼女が亮にはいるのに? 「彼女とうまくいってないの?」 「いってるよ」 だろーね。 彼女さん、亮にゾッコンラブなの知ってるし。 「じゃ欲求不満?」 「んなことねーよ。昨日もしたし」 じゃ、なんでキスすんだよ? 意味わかんねー。 「もしかして、ムラムラしちゃった?」 「は?何言って…」 「なんなら俺が抜くの手伝ってやろーか?」 ニヤリと悪戯っぽく笑みを浮かべた亮が、俺のベルトに手をかけた。 「うわー!どこつかんでんだよ!」 慌てて外されそうになるベルトを掴む。 「まー、照れるなって」 そんな俺を笑いながらも、ベルトを掴む手を離さない亮。 「照れるとかいう問題じゃねーだろ!第一そんなことになってねーし!」 「じゃ、俺が今からそういう状態にしてやるよ」 「ぎゃー!」 「まぁ、おにいさんに任せなさい」 「任せなさいじゃなーい!」 「クッ、アハハハハ」 バタバタと暴れだした俺を面白そうに声を立てて笑うと亮は手を離した。 「りょーちんのバカ!」 「悪かったって」 謝りながらもまだ笑ってるし。 プイッとそっぽを向いて少しだけ乱れた服を直す。 まぁ、これは冗談だとしても、キスはしたんだよなぁ。 どういうつもりでしたんだろ? それを問い詰めるべきかどうか迷っていると、廊下から声が聞こえてきた。 「うぎゃー!助けてー!」 ああ、この声は。 「またやってる」 亮が呟くのと同時に、バタンと勢いよく更衣室のドアが開いた。
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