3.りょーちんは出来る男だし!

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「あ、立花くんたち」 更衣室に飛び込んで来た同じくバイトの野々宮くんが、俺たちの姿を発見すると駆け寄ってきた。 「良かったー。俺、今から隠れるから匿ってね」 そんなことを言いながら使用されてないロッカーを探すとその中に入ろうと片足を突っ込む。 「うわーん、入れないよー」 でしょうね。 流石に無理でしょ。 「また何かやらかしたの?」 そんな野々宮くんに溜め息交じりで尋ねた。 「なんもやってないって!ただポッキー摘まみ食いしてたの見られただけ」 まぁ、そんなことだろうとは思ったけど。 この半泣き状態の人は野々宮雪都(ノノミヤ ユキト)くん。 俺とりょーちんと同じ19歳で、バイト歴も同じくらい。 カラオケ部門で働いているから自然と仲も良くなった。 「ほんと、懲りないね」 毎回毎回ポッキー摘まみ食いして店長に追いかけられるのがこの人の日常。 っていうか、あの店長の前でよく食えるな。 「だって、そこにイチゴポッキーがあるんだもん!」 いや、だからって普通は食わないでしょ。 「……ぉらぁー!野々宮ー!」 そんなことを話してると、遠くから怒声が聞こえてきた。 「ぎゃー!鬼店がくるー!」 ロッカーに隠れるのを諦めた野々宮くんが、救いを求めるように俺たちの顔を見比べた。 ちょっ、あの店長相手に無理だし。 俺だってこえーよ。 「…ここならいけるんじゃない?」 そんな野々宮くんを見兼ねた亮が、ロッカーと壁の隙間を提案した。
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