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「おおーっ、さすが三上くん」
感心しながら隙間に入っていく野々宮くん。
なんとか体が収まって、ビタッとロッカーの側面に背中をくっつけた。
ま、近くまで来ない限り出入り口の方からじゃバレないとは思う。
でも、やっぱあの店長相手にこんなのリスクが大きすぎる。
ここは一つ素直に野々宮くんを差し出す方向で…。
チラリと野々宮くんを見ると、手を合わせて「お願いっ」なんてポーズされるし…。
くそっ!
可愛いじゃねーか。
そんな時、バターン!と蹴破ったかのように勢いよくドアが開いた。
「野々宮ぁ!ここに居ることは分かってんだからな!大人しく出て来やがれ!」
うわぉ!
きたー!
「いっつもポッキーばっか食いやがって。何回言っても分かんねーなら、そろそろ痛い目にあわせるしかねーよな?」
嫌だー、そんなの。
痛い目って何なの?
一発殴られるくらいじゃ済まないよねっ?
だんだん近づいてくる声に、まるで自分に言われてるみたいに怯えて、俺は亮の服の裾を摘まんだ。
ゴクンと唾を飲み込む。
その時、フッと立ち並ぶロッカーの影から店長が姿を現した。
「お?…三上と立花か」
「おはようございます」
俺の前に立った亮が会釈をしながら挨拶をする。
それに釣られるように、俺も軽く会釈をした。
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