4.

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もうダメだ…。 そう諦めかけた瞬間、後ろから気配を感じ、俺のに触れようとした碧の手がサッとパンツの中から出て行った。 「はーい、おまちどーさま」 それとほぼ同時に後ろからした声は父さんで、父さんは運んで来た皿を俺の前に置くと今度は碧の方に向かった。 「碧くんはジャムで良かったんだよね?」 「はい、ありがとうございます」 碧の皿にはイチゴジャムが塗られたパンが乗ってて、碧はそのパンを手に取るとかじりついた。 ともかく、助かった。 ありがと、父さん。 食事をする碧をチラリと盗み見てホッと安堵する。 「葉はパンもうちょっと待っててね。今焼いてるから」 そう言いながら、父さんは冷蔵庫から牛乳パックを取り出してコップと一緒に俺にくれた。 「父さん、買って来てくれたの?」 「もう残り少なかったでしょ?葉、買うの忘れたら大変だと思って」 その牛乳は、ついさっき碧に飲み干されたばかりの、俺のお気に入りの牛乳だった。 うわーん、さすが父さん! やっぱり父さん大好き! 好き好き! もうギューッてしちゃいたい! って、好きって言えば…。 何か昨日の夜から色々あって忘れてたけど、 「父さん、昨日のオムライスありがとう。何かいつもよりすっごく美味しかった」 味的には正直いつもの方が美味しい気がしたけど、あのケチャップで書かれた『LOVE』のおかげでサイコーに美味しかったです! あと、出来ればあんな文字ではなく、父さん口から「葉、愛してるー!」なんて言って欲しいと思ってますので、少し誘導尋問的なことしてもいいですか? 「で、でね?父さん、あのオムライスに書かれた意味って、な、なに?」 さぁ、どうぞ。 サクッと言っちゃって下さい。 「そんなの葉のこと愛してるってことでしょ」って仰って下さい。 そう答えてくれるのを、俺はにやけそうになるのを堪えながらに待っていた。
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