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「ほんと?ほんとにいつもより美味しかった!?」 「え?あ、うん。美味しかった、よ?」 あ、あれ? 食いつくとこそこ? 俺としてはLOVEの意味に食いついて欲しかったんですけど…。 やけにテンションが高くなった父さんを前に、俺は圧倒されるように頷いた。 「ねえ、どこがどんな風に美味しかった?」 どこがどんな風にって…。 ヤバい。 父さん、いつもと作り方変えたのか? 隠し味とか? いや、むしろ味的にはいつもの方が美味しかった…とはもう言えない。 「えーと、その…」 「うん、なになに?」 瞳をキラキラさせて答えを待つ父さん。 うわーん、一体何が正解なんだよー! 俺はただ父さんの口から愛してるって聞きたかっただけなのにー! それさえも望んではいけないというのか!? でも、こんな父さんを前に適当なことは言えない。 「いつもより愛情が籠ってて美味しかったよ?LOVEって書いてあったし」 はい、無難な答え見つけました。 そしてもう1度LOVEを強調してみました。 ですので、いい加減俺の聞きたい言葉を言って下さい。 お願いします。 祈りを込めた眼差しで父さんを見ると、父さんは嬉しそうに笑顔を見せた。
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