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「ほらね。やっぱり料理には愛情が一番なんだよ、碧くん!」
そして、今度はその満面な笑みを碧に向けた。
え?
あの…、なに?これ。
なんでここで碧が出てくんの?
意味分かんなくてポカンとするしか出来ない俺に、父さんはまるで話したくて仕方がなかった秘密を打ち明けるように楽しそうに俺の肩を叩いた。
「葉のオムライスはね、碧くんが作ったんだよー!」
………………、
「はあぁぁぁぁぁ!?」
言ってることの理解が出来なくて、間を開けてから出た俺の声は信じられない気持ちでいっぱいだった。
「碧くんがね、料理覚えたいって言うから教えながら葉の分作って貰ったんだよ」
いや、いやいやいや
料理覚えたいって、そんなのどうでもいいし。
「なかなか筋が良くって父さんビックリ」
ビックリじゃねーよ!
あの味で筋がいいなんて、父さんの味覚にビックリだよ!
父さんが作ったと思ってたから何とかいけたけど、始めっから碧が作ったと知ってたら食えたもんじゃなかったからね!
「碧くんからの大胆なメッセージ、気に入った?」
そう、そこ!
一番の問題はそこだってば!
ということは、あのLOVEは…
「LOVEだなんて、父さん恥ずかしくて描けないっ!」
いやーんと首を振って、真っ赤にさせた顔を手で覆い隠す父さん。
「碧くんてば、見てるこっちが恥ずかしいよ」
やっぱりあれは碧が描いたんですね。
碧からの愛なんてこれっぽっちもいらねーんだよおぉぉぉ!
俺は父さんからのLOVEが欲しかった……。
ガクーッと肩を落とした俺を、碧はクスリと笑っていた。
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