4.

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「フーッ」 「な、何すんだよ!」 後ろから耳に息を吹き掛けられて、俺は肩を竦めて振り返った。 するとそこには制服姿の碧が立っていた。 「おまえ、学校行ったんじゃなかったのかよ?」 姿が見えないからてっきりもう学校に行ったんだと思ってたのに。 「今日は委員会だけなので、いつもより遅いんです。それより俺も手伝いますよ」 ああ、なるほど。 そういうことか。 でも、手伝うって言われてもな。 全部自分でやるつもりだったし、何よりこいつ家事出来んのか? 父さん監修の元作ったオムライスがあの味だったんだぞ? 洗濯物とか頼んでもシワ伸ばさなさそうだよな。 「じゃ、そこの布巾で俺が洗った皿とか拭いてくんね?」 「これですか?」 「そう、それ」 視線を送った先の布巾に気づいて、それを取る。 そして準備万端と言わんばかりにニコッと笑って見せた。 こいつ、普段はくそ生意気なくせに、こうやって笑う時は可愛いんだよな。 顔の造りもいいし、サラサラヘアの爽やかイケメンで絶対モテると思うんだけど……。
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