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「何ですか?ジッと見て。そんなにキスして欲しいんですか?」
「はあ?なんでそーなる…ッ!」
横からチュッと口づけをされる。
「やっぱり兄さんは可愛いですね」
なっ!
「いいから、早く拭けよ!」
年上相手に可愛いとか、バッカじゃねーの!
でも、なんでだろ?
なんかすげー恥ずかしい…。
頬が赤く染まっていくのを感じて、洗剤で洗ったばかりのグラスの泡をすすぐと、碧を見ることなく無造作に渡した。
「ちょっ!兄さん、待って下さい」
へ?
慌てたような声に碧の方を向いた時には遅かった。
手渡したとばかりに思っていたグラスは、碧の手に受け取られることなく、そのまま床へと落ちていった。
ガッシャーン
受け取ろうにも俺の運動神経じゃ間に合うはずもなく、グラスは見事に割れてしまっていた。
「あ、わりぃ。怪我ねーか?」
「俺は大丈夫ですけど、兄さんは?」
「俺も平気だ」
「良かった。取り敢えず掃除しないと危ないですね」
「だな。掃除機取ってくるから触んなよ?」
濡れた手をタオルで拭いて、掃除機を取りに行く。
「痛っ」
でも後ろからそんな小さな声が聞こえて振り返ると、しゃがみ込んだ碧が顔をしかめていた。
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