28人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐにでもお母さんを探しに行きたかったけれど。
やたらめったら動き回ったら、見つけてもらえなくなるかもしれなくて。
僕はベンチの下で、ただ震えるばかりでした。
『お母さん!お母さん!』
必死で鳴いて、泣いて。
疲れて声が出なくなってきた頃。
『あれぇ?どうしたの?
かわいいにゃんこ。
にゃんこもまいご?』
小さなあなたがベンチの下を覗き込んで、僕を見つけてくれました。
『おいで。こわくないから。』
そうっと伸ばされた手を舐めてみたら、凍った毛皮と同じくらいひんやり冷たくて。
僕はびっくりして、思わず逃げ出してしまいました。
最初のコメントを投稿しよう!