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翌朝目を開けた智樹が意識したのは、
今までにない感覚だった。
すっきりした、爽やかな目覚め。
それは必ずしも体のことだけでなく、
頭も心もまっさらになった。
そんな錯覚を呼び起こす。
「ふっ」
苦笑が漏れた。
朝から1人で笑うなんて、
俺、どんだけ危ないやつだよ。
けれど、仕方ないんだ。
この晴れやかな心持ちの理由に、
思い至ってしまったから。
「……愛してる、よ……」
それは、確かに発した昨夜の言葉。
ずっと見ないフリをしていた、本音。
背を向けている間に育っていた、
溢れんばかりの気持ちだった。
それを認めて口にしただけで、
これほど朗らかな気分になるなんて。
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