4/39

54人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「――こっちだ」 声はバスルームから聞こえた。 「はい」 僕はソファーに鞄と上着を放り投げると 立ち上る湯気に誘われるように浴室に足を踏み入れる。 「お兄様……?」 薄暗い洗面所。 ガウンはハンガーにかかったまま 曇りガラスの向こうにもその影はない。 「あれ?」 油断しすぎ。 隙があり過ぎるって――いつも言われているのに。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加