第1章~まだ、知らない~

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「で、どうするよ晩御飯は。」 緊張感も少しずつなくなって、今はみんなリラックスした感じで話を進めている。 「はいはーいっ!俺、オムライスが良いー!」 佐伯君がブンブンと手を挙げる。 「作るのに手間暇かかる、却下。」 「ええぇえぇっ!?」 適当にあしらう山崎君。 「うーん・・・1回で多く作れるものがいいんだよね?やっぱりカレーとかしかないんじゃないかなぁ?」 千春ちゃんの言葉にみんな、だよなぁ~と頷く。 「でもカレーじゃ定番すぎて面白くねぇじゃんかー!」 そのなかで1人、佐伯君だけが不満そうに机をバンバン叩く。 普通のカレーだから定番なんだよね・・・ 「あの、カレーに工夫してみたらどうかな?」 私はおずおずと手を挙げる。 みんなの視線が私に集まって少し恥ずかしい。 「工夫?」 佐伯君がジトーッと私を見る。 そんな目で見ないで下さいよ・・・ 「はい!例えば入れる具材をかえてみるとか!ドリアにするとか!」 私の発言にみんなが急にシーンとする。 あ、あれ・・・?私不味いこと言ったかな・・・? 「いいなそれ!それでいいんじゃね!?」 「きゃあっ!?」 急に佐伯君が立ち上がる。 び、びっくりした・・・ 「うん、それならちょっと違う感じになるんじゃないかな?」 萌絵ちゃんが頷く。 「俺はいいと思う。」 無口だった小石川君も賛同してくれる。 「うん、俺も賛成。」 「それぐらいならお手伝いできるかも。」 残りの2人も賛成してくれる。 「よし!じゃあ何を入れるか決めよーぜ!!はいはーい俺肉は絶対なー!」 それを聞くなり佐伯君が手を挙げる。 もう少しゆっくり話し合おうよ・・・ 「待て、ちょい待て。お前は落ち着け。」 山崎君が面倒くさそうに言い、小石川君がまた頭にチョップする。 「いてーよ!てめぇ孝史!!いちいちチョップすんじゃねーよ!!」 わーわーと言っている佐伯君をみんなは無視。 いいのかな無視して・・・ 「無視すんじゃねーよ!ぶん殴んぞお前ら!あ、男子だけね!」 「よし、じゃあ1人ずつ入れたいものを言っていこうか。」 「だから無視すんじゃねーよ!てか、寂しいから無視やめて下さい、はい。」 シクシクと顔を手で覆って泣き真似をする佐伯君。 男子はキモいって言っているけど、私にはなんだか可愛く見える。
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