第1章~まだ、知らない~

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「じゃあ、作るものはカレーうどんでいい?」 山崎君の言葉にみんなが頷く。 「で、入れるものはネギと油揚げと牛肉、ジャガイモ・・・と。」 山崎君が記入用紙に材料と分量を記入していく。 「じゃあ、誰が用意する?」 「あ、私買いに行こうか?暇だし。」 萌絵ちゃんの言葉に私が返事をする。 みんなたぶん部活とかで忙しいだろうし、私はちょうどオリエンテーションの前の日は部活休みだから買い物に行ける。 「あ、じゃあ俺も一緒に行くよ!女の子1人じゃ重いでしょ?」 佐伯君が手を挙げてくれる。 「そりゃいい。小森さん、コイツに全部持たせればいい。」 すかさず小石川君が言う。 「おうよ!持ってやるよ!」 何故かやる気満々の佐伯君。 「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」 「ダメよ。」 私が頼もうとすると、横から萌絵ちゃんが怒り気味に私の言葉を遮った。 「なんで?」 その言葉に佐伯君が首を傾げる。 確かに・・・なんでだろう? 「香澄には恵人がいるの!男子と2人でどっか行くなんて絶対ダメ!」 必死に萌絵ちゃんが訴える。 なんで男子と2人だとダメなんだろう? 「なるほどねぇ。」 「まあそりゃそうか。」 「香澄ちゃんモテモテね。」 佐伯君以外の3人がほぼ同時に頷く。 どういうこと? 「というわけで佐伯君。気持ちはありがたいけど、香澄は大丈夫よ。」 少し睨みつけるような感じで萌絵ちゃんが佐伯君を見る。 「ん、わかった。じゃあ、香澄ちゃんお願いするね。」 「え?ああ、うん。」 結局私がわからないままみんなは解決してしまったらしい。 見えていたら私の頭の上には?マークがいっぱい出てると思う。 「まあ、とりあえず・・・連絡先だけ交換しとこうか?」 「そうだね!」 そう言ってみんなケータイを取り出す。 グループを作って、そして1人ずつ友達追加をしておく。 「佐伯君の画像、可愛いね。」 佐伯君のプロフィール画像は子猫の写真。 白の子と茶色の子、2匹の子猫が丸まっている。 「あ、それウチの猫。可愛いっしょ?」 佐伯君がニコーッと笑う。 「香澄ちゃん猫好きなの?」 「うん、ウチにも猫いるよ!もう大きいけど。」 「マジ!?後で写真送ってよ~俺も送るからさ!」 「いいよ~」 猫好きという意外な共通点を見つけた佐伯君と私。 見た目はチャラそうだけど話すと全然普通。 なんだか、苦手かもって思ってたのがとても申し訳ない。
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