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「香澄、帰ろうぜ!」
部活が終わった恵ちゃんがテニスコートまで迎えに来る。
恵ちゃんはバスケ部で、体育館からテニスコートまでは結構距離があるのに必ず迎えに来てくれる。
「もうちょっとで終わるから待ってて!」
ラケットとボールを持っていた私は急いで片付けに行く。
「お疲れ様でした!」
そう言って急いで着替えに行く。
とりあえずパウダーシートで体を拭いて、制服に着替える。
ポニーテールだった髪を解いて・・・ふと肩ぐらいまである少し暗めの茶髪が目に入る。
「伸びたな・・・」
そろそろ切った方が良いかな?と思いながら櫛で梳く。髪が引っ掛かって痛い。
本当はもっとちゃんと体拭いたり髪を綺麗にしたいけど、あまり待たせるのもよくないから、とりあえず最低限必要な事だけやって更衣室を出る。
「別にゆっくりでいいのに。」
そう言う恵ちゃんの横を歩く。
「だってあんまり待たせるのも悪いし・・・」
「俺は別に気にしないよ?勝手に待ってるだけだし。」
そう言って恵ちゃんが笑う。
この人はどこまで優しいのだろうか・・・
あ、そうだ。
「あ、あのね恵ちゃん。」
「ん?」
「オリエンテーションって恵ちゃんのクラスはどこ行くの?」
やることは一緒だけどオリエンテーションの場所はクラスによって違う。
「1組と同じとこだよ。」
さらに恵ちゃんがニコッと笑う。
「え?クラスで違うんでしょ?」
「2クラスごとに分けられてるらしいぜ。で、たまたま1組と2組が同じってわけ。」
一緒の電車だぜ。と恵ちゃんがVサインをする。
学校では・・・というか私以外の人の前では、クールというかどこか冷めた感じなのに、私の前では子供っぽくなる。
「で、俺さ買い出しの係になっちゃったんだけどさ。全然分かんないから前の日買い物手伝ってくんね?」
恵ちゃんが顔の前で両手を合わせてお願いポーズをする。
「いいよ、私も買い出し行かないといけないし!」
恵ちゃんがマジで!?って言いながらガッツポーズをしている。
そんなに私と買い物行きたかったのかな?
「ちなみに恵ちゃんのグループは何を作るの?」
「カレー。」
同じだ!と2人で笑う。
やっぱり定番なのかな・・・
でも、こっちはカレーうどんだ。って言うと同じだろ!って恵ちゃんが私の頭にポンって手を乗せた。
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