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「美和、帰るぞ~」
保育園に着いてしばらく先生から話を聞いた後、友達と遊んでいる美和ちゃんに恵ちゃんが声をかける。
「はーい!」
大きな声で返事をした美和ちゃんは鞄を取って、帽子をかぶってこっちに走ってくる。
「あら、今日は香澄ちゃんも一緒なのね。」
「こんばんは。」
教室から出てきた先生が私に声をかける。
ここの保育園には昔からずっと勤めている先生が多い。
今の先生は私の担任だった先生。
卒園生の私を知っている先生も多いから、今でも時々顔を出したりしている。
恵ちゃんについてきたのは久しぶりだけど。
「相変わらず仲がいいのねぇ。」
先生がにっこりと笑う。
美和ちゃんと恵ちゃんのことかな?
「美和ちゃんは可愛いしお利口さんだし、恵ちゃんはとても優しいお兄ちゃんですから。」
そう私が言うと、先生はびっくりしたような顔をする。
「・・・恵人君も大変ね・・・」
恵ちゃんの方を向いた先生は苦笑いを浮かべていて・・・
そして恵ちゃんはため息をついている・・・
何なの?いったい。
「よし、じゃあ帰るか。」
「うん!せんせーさよーならー!」
恵ちゃんが手を差し出す。その手を美和ちゃんがしっかりと握る。
「じゃあ、また来ます。」
「はーい、いつでも来てねぇ!」
先生に挨拶をした後、歩き出した2人の後ろをついて行く。
さっきの恵ちゃんの様子といい、今の会話といい・・・今日はよく分からないことが多い。
「香澄ちゃんー」
考え込んでいた私はいつの間にか立ち止まっていたみたい。
前を歩いていたはずの美和ちゃんが、いつの間にか私の横に来ていて服を引っぱる。
少し離れたところから、どうした?という顔で恵ちゃんが見ているから、私は急いで美和ちゃんの手を握って恵ちゃんのところまで歩いた。
「どうかした?」
心配そうに恵ちゃんが聞いてくる。
「ううん、何でもないよ~」
私はほら!って美和ちゃんのもう片方の手を恵ちゃんに握らせる。
そして、3人で並んで家へと帰った。
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