第1章~まだ、知らない~

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4.楽しい時間~香澄Side~ 苦手だと思っていた佐伯君が実は猫好きだということを知って、それがきっかけで私と佐伯君は仲良くなった。 佐伯君は休み時間や暇な時にはよく私のところに来る。 「かすみーん!もうマジであいつら可愛いんだけど!」 今は放課後。恵ちゃんが迎えに来てくれるので私は教室で待っていると佐伯君がにこにこ・・・というよりデレデレ?した顔でやってきた。 いつの間にか、香澄ちゃんからかすみんって呼び方に変わっている・・・ 「子猫は特に可愛いよねぇ~」 ねー!と2人で頷き合う。 「お前ら相当の猫バカだな・・・」 山崎君が呆れたように言う。 佐伯君が私のところに来ると、山崎君と小石川君も隣に来る。 そして自然とオリエンテーションのグループが集まる。 「好きなものは好きなんだもん~」 また、ねー!と頷き合う。 ダメだこりゃ・・・とみんながため息をつく。 「なんで?猫可愛いじゃんか!」 佐伯君がムッとした感じでみんなを見る。 「可愛いのは分かってる。が、2人は少し行き過ぎてるというか・・・別に悪いとは言わないが。」 小石川君の言葉にみんなが頷く。 まあ、自分でもちょっとは行き過ぎだって分かってるから、私はなんとも思わないんだけど・・・ 「だってさ!ほら、可愛いんだぜ!?こんなに!」 みんなに写真を見せて回る佐伯君。 やりすぎじゃないかな・・・? 「わかったって!」 山崎君が適当に受け流す。 「そういやさ!」 一瞬落ち込んだ佐伯君が私に声をかける。 忙しい人だなぁ・・・ 「何?」 「かすみん今から買い物行くんだろ?」 「うん。」 「でさー今日は小鳥遊がいるからだけど、明日の朝持ってくるの大変じゃねぇ?」 だから明日は俺が迎えに行こうか?と佐伯君が言う。 「そんなの!」 「俺が一緒に行くから必要ない。」 萌絵ちゃんが何か言おうとした時後ろから声が聞こえたと同時に、私の腕が引っ張られる。 「恵ちゃん!お疲れ!」 「あぁ。」 私が振り返ると、何故か恵ちゃんが佐伯君を睨んでいる。 「あの・・・恵ちゃん?」 私が声をかけると恵ちゃんは私の手を握って歩き出す。 「ちょっと恵ちゃん!?みんな、また明日ね!」 みんなにちゃんとあいさつをする間もなく恵ちゃんに引っ張られながら教室を出る。
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