第1章~まだ、知らない~

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「ねぇねぇ恵ちゃん!これどうかな?」 「うーん・・・」 かれこれ30分、ショップのいたるところから色々な服をとってくるけど、恵ちゃんはどれも納得いかないみたい。 「香澄はスカートの方が似合うからな・・・」 た、確かにスカートとかワンピースをよく着るけど!! むしろスカートとかばっかりだけど! 「そんなこと言っても・・・森にスカートで行ったら活動しにくいし!」 「んー・・・」 恵ちゃんはキョロキョロと店内を見て、私を置いてウロウロし始める。 それに私も着いて行く。 チャチャッと服を手にする恵ちゃん。 「これとこれ、着てみて。」 「え?う、うん。」 恵ちゃんに服を渡されて、私は試着室に入る。 選んでくれたのはショートパンツとパーカー。 パンツは紺色で、パーカーは薄いピンクとそこまで派手な服じゃない。 パーカーの下にはTシャツを着ればいいかなって思う。 「うーん・・・ショートパンツって思っているより恥ずかしいかも・・・」 足が出るのはスカートも同じなんだけど・・・ スカートに慣れきってるから違和感が。 「でも、可愛いなぁ・・・さすが恵ちゃん。センスいいや。」 シンプルなんだけど、森に行くならこういう格好の方がいいもんね! うん、これにしよう! 「香澄、着れた?」 「あ、うん!」 外から遠慮気味な恵ちゃんの声が聞こえる。 私は試着室から出てみる。 やっぱり一応見てもらった方がいいよね! 「・・・・・・」 「恵ちゃん?」 試着室から出てみると恵ちゃんが固まってしまった。 そんなに似合ってないのかな・・・? 「あの、やっぱり似合ってない?」 「い、いや!似合ってる・・・んだけど・・・」 「だけど?」 「とても似合ってるんだけど・・・」 似合ってるなら、いいよね? 「じゃあ、これにするね?」 「だ、ダメだ!!」 恵ちゃんが何故か顔を赤くしながら言う。 なんでこんなに必死なんだろう・・・ 「なんで?このパーカー可愛いじゃん?」 「ダメだ・・・」 「なんで?」 「・・・か、可愛いから・・・ダメだ・・・」 さらに顔を赤くする恵ちゃん。 よく分からない。 「可愛いから欲しいんだけど?」 「パーカーじゃなくて!とりあえずもう1回選び直すぞ!」 フイッとまた店内を回る恵ちゃん。 私はまた試着室に押し込められ、しぶしぶ服を着替えた。
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