第1章~まだ、知らない~

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2.俺の好きとあいつの好き~恵人Side~ 「お前はいいよなぁ!あんな可愛い幼馴染みがいてよぉ!」 俺より先に来て俺の席に座っている親友、岡本佑輔(おかもとゆうすけ)が唐突に言ってきた。突っ伏している佑輔の黒髪が机によく目立つ。 「なんだよ急に。」 俺の幼馴染みが可愛いのは分かっている。 でも、なんで急にそんなこと・・・ 「彼女と別れたのか・・・」 「うるせぇっ!!」 まあ、こいつはわかりやすい。 おおかた“他に好きな人ができた”とかそういう理由でフラれたってところだろうか。 「他に好きな奴ができたってなんだよぉ!!」 ・・・やっぱり。 「まぁ・・・うん。女は他にもいるさ。頑張れ、うん。」 とりあえず慰めておくか。後々面倒くさそうだし。 「お前は香澄ちゃんがいるからそんなことを言ってられるんだあぁっ!!」 何をしても面倒くさかったのにはかわりないらしい。 とりあえず、俺の机に突っ伏すのはやめて頂きたい。 「香澄は恋愛感情とかわかってないから。」 とりあえず佑輔の頭に鞄を置いてみる。 「え!?お前香澄ちゃんのこと好きなんじゃないの!?」 佑輔がガバッと起き上がる。 「あぶねっ!」 鞄が落ちそうになって咄嗟に受け止めた俺は凄いと思う。 「急に起き上がるなよ。あと、どけ。」 佑輔を無理矢理俺の席から退かせて座る。 「なぁなぁ!」 ・・・しつこい まぁ・・・これで香澄に言い寄られても困るし、一応牽制しとくか。 「好きだけど。」 思ったよりこの一言が恥ずかしい・・・ 「告んねぇの?」 「・・・・・・・・・・・」 そうか・・・こいつは高校入ってから知り合ったから知らないんだな・・・ 「とっくに告ったよ・・・」 「で、フラれたの?」 佑輔が俺を見る。 これは言わないといつまでも聞かれそうだ。 「笑うなよ。」 「おうっ!」
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