魔法をかけて

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だけれど、前者……『えいぞうきおく』などの能力は、世界中に存在している……数が少ないと言うだけで、存在してはいるのだ。存在……そう、つまりは確認されている。ゆえに、ぼくがここでそう言った能力を得ても、それはぼくのアイデンティティとなりえない。 と、すれば、存在が確認されていない能力……能力を超えた能力、超能力と言うものが、選択肢としてはベターだろう……なるほど。ともすれば、『超能力が欲しい』と願えば、テレポーテーションも出来、自然発火能力も兼ね備え、念動力を操り、人や物体の心や記憶を読み、運動神経を異常発達させ、電気を発生させ、超感覚を身に着け……なんて言う、人間離れした存在になることも出来るかもしれない。 それなら、それがいい。ぼくはおっさんに言う。 「おじさん、それなら、ぼくに超能力を頂戴よ……漫画やアニメみたいに、固定の一つの能力、と言うわけじゃなくて、『なんでもできる』……文字通りの超能力……もちろん、願いをかなえるとか、そう言うのは無しでいいから……例えば発火、例えば瞬間移動、例えば念動力、例えば人間発電機、例えばサイコメトラー、例えば第六感……そんな感じの、超能力を全部持った、超能力者にしてよ……この場合、それを『魔法』と、『魔法使い』と言い換えてもいいけれど……それとも、それも無理?」 ぼくの言葉に、おっさんは快活に笑った。 「あはあはあはあはっ、なるほど、随分と強欲な子だなぁ……いやいや、いいよ、無駄なくいいよ、まったく問題ない……超能力ね、なるほど、君が望むのはそれか……案外普通な願いだね。まあいいさ、ひょっとするとIQを200超えくらいにしてくれ、なんていわれるんじゃないか、とか思っていたんだけれどね……」 「それは自分で何とかするよ」 「自分で……ねぇ。あはあは、君が言うと現実味があるから困るよ。小学生で、中々なものだ。君の十年後が実に気になる……あはあは……ふふん、OK、なら君を超能力者にしてあげよう……魔法、と言うと、私とキャラが被ってしまうから、できれば超能力者と名乗ってほしいものだけどね」 おっさんの言葉に、ぼくは首をかしげる。
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