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「あはあはあは……いや、別にそう言うわけじゃないよ、うん。おじさんは……私は、ちゃんと、れっきとした、正真正銘の魔法使いなのサ……なんて、そう言ったところで、信じてもらえないのかな? いやはや、最近の子供は、随分と斜に構えているね……おじさんが子供のころは、もっと純粋だったよ。野を駆け、山を登り、木の枝を振り回して、カブトムシをとって……田んぼを荒らして怒られたり、遊具から度胸試しで飛び降りたり……それが原因で骨折して、怒られたりしたっけなぁ……あ、いや、ごめんごめん、つい昔話に花を咲かせちゃうのは年寄りのサガと言うものでね……」
おっさんはそう言って、決まり悪そうに笑った。なるほど、すると、校長先生の話が長いのは、そう言う側面があってのことなのか……勉強になる。
子供には無駄話をするな、なんて言っておきながら、先生たちこそそうやって『くだらない』、どうでもいい無駄話ばかりするのだから、説得力に欠けると言うものだと、ぼくは思う。
おっさんは、言葉をつづける。
「おじさんの見たところによると、どうやら君は年の割に随分と聡明なようだね」
「年は関係ないよ。おじさん。年齢なんて関係ない。聡明な人は、生まれてから死ぬまで聡明だし、馬鹿は死ななきゃ治らない……年齢なんて、賢さには関係ない。それは、ただ長く生きたから、知識量と経験が増えた、と言うだけのことでしかなくて、結局のところ本質は何も変わらないんだよ」
ぼくの言葉に、おっさんは苦笑いを浮かべた。
「おや、まあ。なんと言うか、随分とお利口さんと言うか……ええい、面倒くさい。こまっしゃくれたガキだな……ふん、まあいいか。……おっと、ごめんよ。つい、口調が荒くなってしまって……どうにも私は、忍耐力と言う奴に欠けるみたいでね……」
「いや、別に良いよ、おじさん。気にしていない」
「そうかい? なら、よかった……しかし、君くらいに頭のいい子なら、いっそのこと回りくどく言う必要はないかな……うん、そうだね。単刀直入に言うと、私は君の願いを叶えてあげようと思っているんだ」
おっさんの言葉に、少しだけ心が揺り動かされた。願いをかなえる……願いをかなえる。なるほど、その言葉が本当なら、本当だと仮定したなら、ぼくの勘がおっさんとの会話を、対話を優先したのもうなずける。
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