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欲した部分に指が触れて、悲鳴のような声をあげた。
一気に突き上げるような刺激は、心地よい余韻を残し僧を痺れさせる。
こうなればもう、留める事などできない。
不安があるとするならば、旅人の顔が見えない事だ。
一体どんな顔をして、旅人は僧を抱いているのか。
呆れているのか。それとも、僧と同じように色に溺れているのか。
確かに感じられる事は、背後から抱きしめる旅人の体も熱くなっていることと、同じように反応してくれていることだった。
「…力、抜いておけ」
不意に耳元に吹き込まれた声に僧が従うよりも前に、僧は男の逞しさをその身を持って確かめる事となる。
ほんのわずかに痛みはあった。
だがそれも、慣らされた体は順応していく。
深く繋がった旅人を受け入れた体は、もう悦び以外は感じていない。
僧の声が、小さなお堂の中に一夜じゅう、絶える事無く響いていた。
翌朝、僧が目を覚ますと旅人の姿はなかった。
虚しいと感じると同時に、安堵もしていた。
明るくなって、こんな姿で一体何を言えばいいのか、分からなかった。
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