shabby

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日がな一日惰眠を貪っていた僕は何度目かの覚醒の時を迎える。可笑しな夢を見たのは、眠りに落ちる直前まで万華鏡でお月見してたからかな。おめざに薔薇の花をしたためると、花弁のシャワーでお腹の中の虫が起きた。虫は目を覚ますと同時にきやきやと唸り上げて、僕にあれこれと要求する。こうなると手が付けられない。虫も殺せない僕は腹を抱えて転げ回る。ひだるさを抑え込むのは簡単じゃない。僕はバケツ一杯の乾いた土を頬張りながらも、鳴き止まない虫を持て余していた。 僕がstuffed bearに憧れるのは、ずーっとお腹が一杯でいられるから。でも熊は踊らないから駄目だね。踊りを理解しない彼らは、踊るには自分たちが高等すぎると思っているんだろう。その点、野良猫たちはマタタビをあげたお礼にダンスを披露してくれる。それがとっても素敵で、僕は毎回「踊るのをやめないで」とせがむのだ。 虫がおさまらなくてどうしようもないので、とっておきのcandyで気を紛らわす。ビー玉やほおづきの実や眼球や猫鼠candyを壜に入れ、よく振って混ぜる。眼を瞑って一つ取り出し、口に放り込む。当たりだ。一番おいしいのはほおづき。ビー玉は長時間楽しめるが、味に変化がない。眼球は食感が良いが、最後まで噛み砕かないように味わうのは難しい。猫鼠candyは悪くない味だが、tripの間は野良猫が来ても気付いてやれない。candyの後味に浸っていると、猫たちがやって来た。時計の無い此処では彼らがtimekeeperだ。いつものように猫缶を一緒に食べ、マタタビをあげる。猫たちが踊り始め、僕も心音のrhythmに乗る。 「踊るのをやめないで」 お腹のきやきやに我慢できなくなっても 「踊るのをやめないで」 お月様を食べ尽くしちゃっても 「踊るのをやめないで」 踊り狂う猫たち 「踊るのをやめないで」 真っ暗闇の街に一人ぼっちでも 「踊るのをやめないで」 虫がきやきやと啼いている 「踊るのをやめないで」 猫たちが眠ったように死んでも 「踊るのをやめないで」 僕は眠れないでいるよ 僕は最後のcandyを口に入れる。世界一悲しいcandyを食べたって、世界一悲しい気持ちには、なれない。なれやしないんだ。お腹を撫でつつ、ほおづきを口の中で転がす。孕んだ胎に子は居なかった。
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