沢山の虚勢と少しの本音

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よほど面白い事だったのか、笑いながらも薄っすらと浮かひ始める涙に指先で器用に掬い取るとセリーヌはゆっくりと息を整え始めた 「は~ぁ・・・なかなか愉快な質問だったぞ!」 「ったく・・・泣くほどの事かよ?」 「当たり前であろう?我がセヴァスに危機を持てと言われても、ポッキーゲーム如きで引っくり返るお主に(笑」 そこまで言うと 再びクツリっと堪えたような笑いがセリーヌからこぼれ落ちた それを苦々しい表情で見ていたセヴァスは注がれたばかりの酒をガッと一気に飲み干す それと同時に喉を流れるアルコールが、触れた場所全てを焼いてゆくような感覚に高揚すると、口元に付いた液体を拳で荒々しく拭き取った 「あのな!俺だって初めからポッキーゲームだと解かってりゃ あんなにうろたえもしねぇし!セリーヌ相手に気を失ったりなんかしねぇっての!」 っと啖呵をきるセヴァスの言葉にセリーヌの眉が僅かに反応をして見せた 「ほぅ?聞き捨てならぬ言葉を吐きおる。我など最早 取るに足らぬ相手と申すのか?」 「ったりめぇだ!なんなら再戦すっか!?」 「上等だ!」 売り言葉に、買い言葉と言うのは2人にも十分に解かってはいたが、止める者がいないこの状況 進むのは悪い方への一方通行 掴み握ったポッキーの端と端を互いに咥えるとセヴァスが先程まで酒を飲んでいたグラスを自身の後ろへと投げ捨てる 主を失ったソレは放物線を描いて床へと叩きつけられ、その硝子の砕ける音が合図となった
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