沢山の虚勢と少しの本音

6/8
前へ
/20ページ
次へ
大見得をきったがどうせ先日の二の舞になると確信していたセリーヌは再びジリジリと追いやり慌てる顔をもう一度拝んでやろうと内心で笑むとセヴァスの首へと手を掛けポッキーに小さく歯を立てた が 同時に自身の躰が強く引き寄せられる感覚に不意にも驚き目を見開いた 何が起きたのかと想定外の状況に慌てて思考を廻らせようとするも、それより早くひとくちで三分の一を噛み砕いたセヴァスの口がふたくち目へと移りそれすらも終わりを告げようとしていた 次には触れ合ってしまう距離とポッキーの短さと言う事だけを把握してしまい同時にアルコールで火照った熱とは別の熱が瞬時に全身を駆け巡る 思わずその息苦しさから口を開いてしまうとバランスを崩したポッキーが自身の口から離れてゆく感覚に「あっ」とひと声漏れ 急ぎ再びその端に喰らいつこうとしたが、とき既に遅く 策略勝ちと言わんが如く満足げに笑みながらポッキーを噛み砕くセヴァスにしてやられてしまった 「な?大丈夫だったろ?」 「ふふっ そうだな。だが強襲とは少し卑怯ではないか?」 「ばぁ~か こうでもしねぇとセリーヌの色気に勝てる気がしねぇよ」 「ははッ だったらあまり変わってないという事ではないのか?」 「まぁ俺が女に慣れるのは時間のかかる話って事は変わり無いが、ただ さっき一瞬 たじろいだだろ?だったら俺の事も少しは男と意識したってこったろ!それならさっきの俺に警戒しないって話は訂正が入るのが妥当だと思うがな!」 「悔しいがそうゆう事になるな。仕方ない 非礼を詫びよう 悪かったな」 その言葉に満足したのか引き寄せられていた躰にようやく自由が戻った 「さぁ!気分も良いし、宴もたけなわってところだがそろそろ夜も更けたし送るぜ」 「嗚呼・・・月がもうあんなに傾いていたのだな、全く いく度 月日を重ねても、愉しい時が過ぎる早さは変わらぬのだな・・・」 「だが 俺等にそんな時間を過ごすには余るほどの時があるんだ また愉しい時間を皆で重ねりゃ良い だろ?」 っそんな会話をしながら外へと繋がる大きな戸をくぐると、先に魔獣の背に乗っていたセヴァスから差し出される見慣れ触れ慣れたその手に僅かな熱を込める、そんな事を知ってずか屈託のないあの笑顔につられて 笑みを一つこぼし魔獣へと身を移すと薄っすらと白み始める空を慣れた土地を目指して飛び立つのだった image=488762175.jpg
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加