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「そうですね、確かに助かりましたがそれとこれとはどういった関連性があるのでしょうか、私の納得がゆく回答を求めますわ」
「ん~?別に関連性なんて微塵もねぇさ、ただそこに別嬪さんがいたから抱き寄せただけなんだが?」
「・・・節操無しなのは存じておりましたが、お戯れにしても度が過ぎますのよ?」
「おいおい 戯れって酷いな。嘘偽りを言った覚えないぜ?それとも・・・」
俺じゃ役不足って事か?と憤怒から零れた言葉は更に近く 右耳の方から響き 肩には頭部と思わしき箇所が当たっている
すると一段と濃くなる誰のものか解からないオメガの香りに混じって純粋に香る憤怒の香りに気付き、ほんの僅かに心の波がざわりと音を立てた気がした
「私はオメガではありません。アルファですので貴方の願う事を叶える事を出来ませんし、その気もありません」
流石に完全たる拒否の意思を表せば抱き付いている憤怒も諦めると思いキッパリと言い切ったのだが、しかしてどうしてこの腕は一向に自身を解放してくれないのか?
反応のない憤怒、時が止まったかのようなこの静かな空間に響くのは沸騰し始めた湯のポコポコという擬音だけである
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