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毎度の事とは言え、一通りの確認を終え立ち上がった杖の音の男は「そう言えば・・・」と伝えそびれた話を紡ぎ始める
「まだ大した被害と言う訳ではないのですが【革命軍】と名乗る愚か者共がサタン様の地を穢しているようです。塔より北に位置する小さな村で実害が出ている模様と報告が上がっております、この程度の規模の反乱ならば100人程の兵と幾分かのモンスターを向かわせれば制圧が可能ですが、如何なさいますか?」
と再び問えば、先程までうつらうつらと夢の淵を歩いていた男は静かに瞳を開き ニタリと笑む
「それは楽しそうな事になってるな。この俺の領土で好き勝手に暴れるなんて馬鹿は久しいじゃねぇか」
「全くです。これらの者達は他の魔王様の領内、中立の村、王都の方でも同様の騒ぎを起している模様で」
「カハハッ!まぁ地上を取りに来た俺等と、それを排除しようとする王都の奴等の間に恨み・怒り的な感情に呑まれてこういった類の奴等が現れる事はザラだ、解せなくはねぇ。ただ・・・解せんのは、中立にまで手をかけてるって所だな。手当たり次第に見境の無い『狼』(ただの馬鹿)の仕業か・・・はたまた子羊の皮を被った用意周到な『狼』(危険分子)の仕業か・・・。どちらにせよ 楽しめそうじゃねぇか。手を出すなよアイモ、これは俺が狩るぞ」
そう言って盛大に嗤う男の瞳は、領民の命が惜しいというよりは、標的(革命軍)となる玩具と遊べる楽しみに嬉々としていると言った方が正しいような猟奇染みた反応を示していた
内心これほどまでに興味を持つとは思っていなかった件だったので、もちかけた本人としては少々驚いたが 主の言葉に絶対忠誠を誓っているアイモの切り替えは早く「仰せのままに。それでは先ずはお食事の用意をさせましょう」っと繋げた言葉は「鬼が出るか 蛇が出るか・・・」っと事の顛末を愉しんでいるサタンの耳に届くにはまだ少し時間が掛かりそうである
[終]
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