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等級とは、星の明るさを表す単位で、夜空で一番明るい星が一等、つぎが二等、そのつぎが三等とさがっていくにつれ、暗くなっていく。
西の基点となる不動の星は、三等の星だ。
動かないというだけで、明るく目立つ星ではなかった。
「うーん……」
男は、同じような唸り声をあげるばかりだった。
判断がつかなかったのだ。
ーー今日は満月だからなぁ。
心でそうつぶやいて、南の空を見あげる。
真ん丸な、白い光を降らせる月。
その勢力の中にある星は、ほとんど見ることができない。
月に近いほど目立たなくなる今宵の星。
西の基点と同じ等級であるはずながら、やや暗く見える星は、左上。
少し月に近い。
ーー明るさを比較するには、やや不安なんだよなぁ。
「光度が増してたら、即報告だがなぁ」
「そうですよ。南の基点が明るくなった時は、『陛下』がご不在で、結局みーんな終わってからの報告になったんですよね? それじゃあ、ぼくたちの立つ瀬がありません」
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