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「えっと、あの……しゅ、柊……んっ」
恥ずかしがりながらも口を開いたかれんの口唇を、思わず自分の口で塞いだ。
「……っ」
驚いて肩をすくめたかれんの腕を取り、もう一度抱き寄せる。
甘い香りと夜風の匂いが混じり合う一瞬。
やがて身体の力を抜いた彼女の指先が、ゆっくりと俺の背中に回されていくのを感じた。
「……」
「……」
ゆっくり、ゆっくりとどちらからともなく離れた口唇。
だけどそのまま離れるには、身体よりも心が熱を帯び過ぎて。
子供のような、大人のような、まるで中途半端な二人。
口唇の触れる距離、額をこつんと寄せてかれんの瞳を覗き込む。
途端に彼女はまた困ったように拗ねたように、ふっと笑みをこぼした。
「もぉ……何、するのよ……」
「何って……?」
熱を持って口唇に触れる吐息が心地好い。
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