夜の吐息と魔法の言葉

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「……私だって……恥ずかしい、のに」 「んー……何が?」 「……もうっ、柊……、んっ」 ……まだ言わせない。 だって、俺。 今、かれんの口から名前を呼ばれたら壊れる自信……ある。 何度熱い口唇を奪ったところで、消えない熱。 また触れた口唇を離すと、かれんは熱い吐息を吐いて上目遣いに俺を見つめた。 「私っ……初めてだって……言ってるのに……」 じんじんと響く鼓膜の奥、微かに虫の音が夏の夜の始まりを告げていた。
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