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「……じゃあさ」
まだ額を寄せたまま、ゆっくりと口を開く。
夜風にさらわれる彼女の髪が、濡れた口唇を掠めていった。
「……かれんの初めて。一つ残らず俺が奪ってもいい?」
「……っ」
困ったように俺を見つめていたかれんが、潤んだ大きな瞳を瞬かせるのが見えた。
「……は、初めてって…」
かれんは戸惑いを隠せない瞳を、パッと逸らして俯く。
「だって俺、かれんと居ると初めての事ばっかりだよ」
冗談ぽく鼻で笑って吐いた言葉は、嘘じゃない。
まるで壊れ物に触れるかのように優しく彼女の頬に指を這わすと、しっとりとした肌がぴくんと震えた。
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