20人が本棚に入れています
本棚に追加
御師様の体調が、悪いらしい。
「御師様、胡蝶です」
なんでも、痔と口内炎とものもらいが同時にできたらしい。
「……御師様。
胡蝶こと、依代です」
自分の体に同時多発テロを起こされた御師様は、早々に仕事をほっぽり出して、いそいそと嬉しそうに寝込んだ。
御師様は、ダラダラと怠惰に過ごすことが、好きである。
ちなみに、それ以上に、お酒と熟女が大好きである。
「御師様、胡蝶です。
開けてもよろしいですか?」
別に、御師様が仕事をしないのは構わない。
いつものことだからだ。
でも一応、私も心配くらいはする。
「御師様、胡蝶です。
開けますからね」
軽めの食事と、口内炎とものもらいと痔の薬を携えた私は、いつものように一方的に声をかけると、長い袖をさばいてスパンッとふすまを開いた。
最初のコメントを投稿しよう!